コンサートシーズン

82

昨日はフランツ、今日はフレデリックと。
彼らと耽美な陶酔の時間を、サントリーホールで過ごしておりました。


秋になると、コンサートシーズンの到来です。開放的な春夏は意識が外へ向かうのか、繊細な感覚がやや鈍るせいでしょうか。
空気が冷えてくる秋冬の方が音楽に集中できるような気がします。

辻井さんの演奏を初めて最前列で拝聴しました。
美しい透明な旋律が響板を介して、まだ積もり初めの新雪の上に舞い落ちるような優しさで、ポロポロと降ってきます。時に激しく叩きつけるように、時に荘厳さを伴って。

怒りや憎しみ、嫌悪などとは対極の世界です。

全身全霊の演奏に多くの人々が心を奪われ、揺さぶられ、動かされていました。
辻井さんのお人柄に全聴衆は魅了され、もう皆彼を愛さずにはいられません。


私のSpotifyにはなごり雪から聖子ちゃんにJanet、Adel、Noraなど実にバラバラです。
仕事終わりに一番よく聴くのはリストのコンソレーションや、ショパンのピアノソナタ第2番第3楽章など。

およそ200年前に活躍した天才たちが残してくれた音楽に、今を生きる私達もそれぞれの人生を重ね合わせて、同じ熱量で感動を味わっています。

巨匠の残してくれた音楽はいつも、苦悩や憂い、悲壮などの感覚を静かになだめてくれるのです。

現実の世界はどうでしょう。そういった苦しみに溢れているように思えてなりません。
それでも。
皆の苦痛が取り除かれ、全ての人が生きる喜びを感じることができますように。
診察室で皆さまの安息をいつも願っています。

診察室のお祈りネコは、
いつもベストな診療ができるよう祈ってくれています。